本日は、京都の三大祭のトップ飾る葵祭。
雨が心配されていましたが、無事に行列を終えることができたようです。
現在は、勅使代より斎王代が注目されますが、元々は宮中の行事です。
古典籍で、「祭り」とあれば、それは葵祭を指します。
行列は、午前中に御所を出発し、下鴨・上賀茂両神社へと参ります。
乗尻(のりじり)を先頭に、
警護列:素襖(すおう)・看督長(かどのおさ)・検非違使志(けびいしのさかん)・検非違使尉(けびいしのじょう)
内蔵寮官列:山城使(やましろづかい)・衛士・内蔵寮史生(くらりょうのししょう)
馬寮官列:馬寮使(めりょうづかい)
風流傘を挟み
斎王代女人列:蔵人所陪従(くろうどどころのべいじゅう)・命婦・女嬬・童女・斎王代・騎女・内侍・女別当・采女(うねめ)
勅使舞人陪従列:前導・勅使・舞人・陪従・内蔵使と続きます。
列後方に、桜・橘・藤や葵桂にて飾られた牛車も追従します。
私が行列を眺めるのは、賀茂街道が多いです。
賀茂街道は、この時期、欅などの新緑のトンネルをくぐりながらの行列の運びがゆかしく、
また、道幅も狭いので、行列が間近に見られますし、賀茂川も近いので、一息入れることも出来ますので。
写真は、行列の先頭を行く「賀茂競馬(くらべうま)」を奉納した乗尻(のりじり)。
この乗尻の役の方、お馬さんがちょっと興奮してたのを、巧みに操っておとなしくさせておられれ、すごかったです。
まずは、このお祭りに欠かせない植物、フタバアオイをご紹介します。
フタバアオイはウマノスズクサ科フタバアオイ属の多年草で、
茎が二股に分かれ葉を付けることから、この名が付きました。
この時期、フタバアオイには花が咲きます。
俯きがち、しかも葉っぱの下に咲くお花は、地面すれすれまでにしゃがみ込まないと見えません。
フタバアオイは別名をカモアオイとも呼ばれます。
上賀茂・下鴨神社の神紋になっています。
あの有名な徳川家の三つ葉葵紋は、この神社の神紋に由来します。
フタバアオイと共に、行列の貴人の挿頭(かざし)となるのは、桂の木です。
カツラ科カツラ属の落葉高木です。
葵は女性を、桂は男性を象徴していると言われています。
今年の斎王代は、なんと、CAさんだとか!
路頭の儀の間は、斎王代は腰輿(およよ)に乗られます。
五衣裳唐衣(いつつぎぬからぎぬ)、つまり、十二単衣の上に小忌衣(おみごろも)を着せかけ、檜扇(ひおうぎ)を手に、髪は垂髪(おすべからし)、頂に心葉(こころば)を言われる金属と玉の飾りを付け、額の両側に日蔭糸(ひかげのいと)を垂れています。
毎年注目してしまうのが采女(うねめ)。
采女とは、元々は天皇皇后の側仕え(主に食事の奉仕)の女官でした。
地方豪族の娘が人質として献上されたのが始まりで、そこから巫女へと派生したと言われます。
行列では、斎院の神事を司る女官で、絵衣(えぎぬ)の上に青海波の文様の唐衣、その上に、千早(ちはや)という薄絹を纏い、切袴とよばれる短い袴を履きます。
斎王代と同様に、頂に心葉(こころば)を言われる金属と玉の飾りを付け、額の両側に日蔭糸(ひかげのいと)を垂れます。
心葉と日蔭糸を装束に持つ者は、神様に奉仕する役割です。
小袿(こうちぎ)姿に打袴の騎女(むまのりおんな)も、とても凛々しいですね。
現在は、葵祭は斎王代女人列が注目されますが、本来はこちらの勅使列がメインです。
勅使は四位近衛中将が勤め、黒色の太刀はきの衣冠束帯姿。
上賀茂神社境内では、馬を降り、練歩(れんぽ)というゆったりとした歩き方で進みます。
後ろに、東游(あずまあそび)を舞う武官を従え、「河霧」の銘を持つ和琴を陪従がつま弾きつつ従います。
『源氏物語』では、この勅使を光源氏が勤め、第9帖「葵」にて“車争い”が起こります。
現在もちゃーんと、宮内庁掌典職より天皇さんのお遣いが遣わされます。
しかし、職員の皆様、大抵はいいお歳の方、光源氏の様な見目麗しい殿方とは参りませんねぇ(笑)。
上賀茂神社では、行列は皆、馬や乗り物を下り、徒にて参拝です。
本殿にては、御幣物・祭文奏上、祝詞や東游が奏された後、
上賀茂神社走馬(そうま)の儀が執り行われます。
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