京都紅葉便り2010 その5 大原 実光院・勝林院・寂光院
「春すぎ夏きたて北まつりも過ぎしかば、法皇夜をこめて大原の奥へぞ御幸なる」
『平家物語 灌頂巻』 大原御幸
流石に、夜をこめてとは参りませんが、11月20日に大原御幸と相成りました。
紅葉の名所、三千院はもの凄い人出。
ぐるりと巡り、早々に辞して、次はお気に入りの実光院へ。
こちらは、この時期に咲く珍しい不断桜があり、観桜と紅葉見が揃いで行えるという僥倖。
誰もおらず、ならば、緋毛氈にて寝転びて、紅葉と桜をば枕屏風に仕立てたき。
紅葉満つ、律川より流るるは、丹朱の岩絵の具。
並び立たずの二季節、どちらが待ちて、どちらが追うて、焦がれたか。
名に負いし絶えず心の桜花、秋を思うてか、ほんのりと紅装い。
水に抱かれ、落花、朽ち葉の眠り、終は共に。
(実光院)
次ぎに、入口には人が溢れますが、意外と中へ参拝する人が少ない勝林院へ。
テープではございますが、天台声明が流れ、それが耳に心地よく、うっとりと紅葉を眺めました。
秋空高く、苔滲み、紅葉燃ゆ。
見通せば、赤橙の一幅紅葉。
おや、ここにも、紅葉がござれば。
本堂を護る様にか、紅葉陣幕。
(勝林院)
三千院・勝林院辺りから少々離れ、寂光院へ。
残念ながら、本堂は平成12年に放火によって焼失し、平成17年に再建されたものです。
ですが、山里の侘びた佇まいは、往時を偲ぶよすがとなりますでしょう。
女院の隠れたまひし、紅葉をば、心慰め。
「池水に みぎはのさくら 散りしきて なみの花こそ さかりなりけれ」 後白河法皇
今はただ、もみじ葉こそが盛りなれ。
(寂光院)
勝林院は天台声明の地。
目に彩な紅葉を眺めている間、端正な阿弥陀様を拝む間、滔々と流れる声明が何とも良き心地でございました。
参考
写真:2010年11月20日 大原(実光院・勝林院・寂光院)にて
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コメント
大原の紅葉、良いですねえ。
今年はタイミングを逃しちゃったからなあ。
来年は是非訪れてみたいです。
それにしても、声明と紅葉のコラボは素晴らしい。
良いものを見せていただきました。
投稿: なおくん | 2010.12.03 21:32
>ならば、緋毛氈にて寝転びて
まさか本当に寝転んで撮影したりしてませんよね?
眺め上げる紅葉はとても綺麗だと思いますが、そこまでの贅沢はできませんやねぇ。
1時間貸切みたいなのはあるんでしょうか?
桜と紅葉が並んで見られるとは思っていませんでした。
そんなところが日本にあるのですねぇ。
勉強になりました。
赤と並ぶと桜の白がまぁ可憐で。
どっちも綺麗だなぁと思いました。
今回のお気に入りは実光院の4枚目でーす。
影が大変グーです。
写真上手ですね!
指は大丈夫ですか?
投稿: 外付け胃袋 | 2010.12.04 00:24
最近は冬の寒い時しか行ってないんですよA^^;
今年も大原の紅葉、見損ねたなぁ。。。
投稿: Milk | 2010.12.04 10:27
おはようございます、なおくん様
大原は、私、意外と紅葉の時期に訪れることが多うございますの。
実光院が好きでして。
今年、初めて紅葉の時期にいつものぞくだけの、勝林院を拝観しまして。
声明につられての拝観でしたから、仏縁がございましょう(笑)?
本堂にて、声明を聞きつつ、随分とぼおっとさせて頂きました。
是非、紅葉の時期にお訊ね下さいましね。
投稿: いけこ | 2010.12.07 09:22
おはようございます、外付け胃袋様
お陰様で、痛みもだいぶ良くなり、関節の可動域も広がって参りました。
ただ、まだ握る動作に痛みがかなりあり、年内はしばらく、養生が必要なようです。
さすがに寝転んでの拝観はできませんねぇ。
でも、内心では寝ころびたいのです(笑)。
紅葉と桜が一緒に見られるとは贅沢でしょう?
お庭も、どの季節に参りましても、茶花があふれ、この時期は実物が豊富。
南天・赤・黄色の千両・万両・カラスウリなどが。
大原の新緑も素晴らしいのですよ。
是非、ご案内したいですわ~。
投稿: いけこ | 2010.12.07 09:26
おはようございます、Milk様
是非、来年の紅葉は大原をコースに!
もちろん、新緑の時期も素晴らしいので、5月頃もお勧めなんですよ~。
でも、やはり紅葉の大原はすごい人でして。
覚悟はしてましたが、早朝か平日が狙い目でしょうねぇ。
投稿: いけこ | 2010.12.07 09:28