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2010.02.09

東京雑記 その4 歌舞伎座さよなら公演 壽初春大歌舞伎 その3

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第三、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
武蔵坊弁慶/團十郎
源義経/勘三郎
亀井六郎/友右衛門
片岡八郎/高麗蔵
駿河次郎/松江
常陸坊海尊/桂三
太刀持音若/玉太郎
富樫左衛門/梅玉

舞台は平安末期。
源氏が平家打倒を掲げ、その功労者であった義経が、兄である頼朝の不興を買い、
奥州藤原秀衡の元へ、弁慶はじめ主従と落ち延び、加賀の国安宅の関に差し掛かったところです。
もちろん、この安宅の関には関守、富樫によりしっかりと守られています。
ここを、義経を強力に、弁慶従者達を山伏に仕立てて、東大寺再建の勧進と申し立て、関を越えようとします。
数日前、胡乱な山伏達を処刑した富樫、山伏姿の主従を疑い、関を通しません。
勧進帳を読み上げさせたり、山伏や法具、真言について矢継ぎ早に質問し、押しとどめます。
弁慶はそれらを弁舌鮮やかにかわします。

弁慶の働きで関越えを許され、一行がまさに通過しようとしたその時、番卒が強力は義経であると見破ります。
富樫が呼び止めると、弁慶は「そなたが疑われたせいで」と強力に化けた義経を散々に打擲します。
義経側と富樫側ではまさに一触即発。
仲間を押し留め、また、主君を何とか守ろうとする必死な弁慶の姿を見た富樫は、胸を打たれ、義経主従と知りながら、関所の通過を許します。

やっとの思いで関所を通過した義経主従、義経は無事に関所を通過できた弁慶の働きを誉めます。
弁慶は、義経を救うためとは言え、主君を打った無礼を侘び、主君の温情にただただ涙するのでした。
他の仲間達も、来し方行く先を嘆きます。
そこへ富樫が追いつき、先ほどの非礼を侘び、酒宴となります。
弁慶は富樫の所望により、舞を舞いつつ、その隙に義経主従を先に立たせます。
舞終わった弁慶は、義経主従と知りつつも通してくれた富樫に深く感謝しつつ、義経を追って旅立つのでした。


演目最初のあたり、舞台後方の囃子方総勢での一糸乱れぬ鼓打ちに感動!
囃子方あっての演目への誘いなのですね。

勧進帳は、大学時代平安神宮での薪能にてダイジェスト版「安宅」を一度見ておりましたし、ゼミで「義経記」を学びましたので、ストーリーを追う分には問題ありませんでした。
また、歌舞伎の「勧進帳」は、能の「安宅」を元にした演目。
双方の違いも発見しつつ、楽しい鑑賞となりました。

押しとどめる様は、歌舞伎では、科白があるかわりに割とあっさりなのですね。
所作の能では、押し戻しも沢山時間を取る演出となっています。

また、富樫の人物像にも違いが。
歌舞伎では、義経と知りながらも、弁慶の主を思う心構えに打たれ、自身が咎めを受けると知りながら、
切なる覚悟を決めて、主従を通す情ある人物と演出されています。
能では、最後まで疑いつつ・・といったなんとなく煮え切らぬ人物と言ったところでしょうか。

しかし、二階席のまさに花道の上だったため、花道での「飛び六方」がほとんど見えない(泣)!!!
あぁぁ~、惜しいよぅ~。キメのとこなのに!!
最初少しだけの「飛び六方」でしたが、何とも勇ましく、主人義経へ眼を向け、ひたむきに去る姿は勢いが有りつつも、これからの艱難辛苦への覚悟が見て取れました。
ここも、能には無い演出ですね(能では謡いながらさささっと下手へ)。

勘三郎さんは、品のある大人しげな義経でした。
ですが、やはり科白も少ないし、こちらをあんまり向いてくれませんので、あれ?印象が薄い(笑)。


梅玉さん、人間味のある素敵な富樫でした。
弁慶の忠義の前に、激しく迷いつつも、通すと決めた清々しい富樫の覚悟がいいのです。
科白が進むにつれて、義経主従に敬意が払われていくのですが、
梅玉さんが科白に籠める声に、葛藤から覚悟を決めた潔さ晴れやかさが段々と滲んでいくのです。

団十郎さん、流石のお家芸でございます。
朗々と響く声に、壮烈ながら、様式美をこれでもかと魅せつけ、
「延年の舞」を舞う姿には、神性を帯びているように思えました。
何と言ったらよいのでしょうか。うまく言葉に出来ません。
団十郎さんの弁慶に籠めた気概がひしひしと伝わってき、胸が熱くなりました。
誠の芸の真髄、本当に最高の演目を見せて頂きました。

参考

写真:2010年1月23日 歌舞伎座 二階席より舞台を望む。

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コメント

いけこ様、こんばんわ。

先ほどは、ご来訪ありがとうございました。

本日の京都は、変に温かい一日でございましたね~

歌舞伎座は、さよなら公演ですかー・・・

高兄は、ついに歌舞伎座の舞台は拝見せずに終わりそうです。とほほ


最後という事もあってか、こちらの演目も層々たる役者のみなはんが、御揃いですね。

東京の友人に聴いた事があるのですが、東京の芝居小屋は、幕ごと、つまり観たい一幕だけのキップを買う・・・なんて事も出来るそう??

ほんまですか?

ただでさえ、お安くない歌舞伎のキップ(本来は大衆演劇なんどすがね・・)

もし、そういう買い方が出来るなら、お若い歌舞伎ファンももっと芝居小屋に足をはこぶだろうに。

京都南座にも、このシステムを導入せんもんかいねぇー

投稿: 高兄 | 2010.02.09 19:29

有名な勧進帳ですね。
話は大体知っていますが、舞台は能も歌舞伎も見た事が無いです。
やっぱり武蔵坊が主役ですから、義経の勘三郎さんは印象が薄くても仕方がないかもと思ったりして。
かなり豪華なキャストのように思うのですが、勧進帳はだいたい豪華なのでしょうか?
さよなら歌舞伎座だから?

投稿: 外付け胃袋 | 2010.02.10 00:04

こんにちは、高兄様

私もこの上京で、初めての歌舞伎座でございました。
歌舞伎座さよなら公演は、4月までですからねぇ。
名残惜しいですわ。
さよなら公演というだけあって、今までご出演されていた様々な歌舞伎役者さんが勢揃い。
何とも贅沢な演目となっております。

一幕見席というシステムが、歌舞伎や落語にはございます。
上映される一演目だけ見るというシステムですね。
席は天井桟敷席ですが、うまくいけば、一席千円くらいで鑑賞出来ます。
しかし、幕見席ですと、席以外の歌舞伎座内には入れず、売店の利用なども出来ないのです。
入口も別ですからねぇ。
演目だけを楽しむということになります。

南座も演目によっては、あったと思います。
私も学生時代に幕見席で「鷺娘」を鑑賞しましたから。
もしかしたら、今はもう無いのでしょうか?

投稿: いけこ | 2010.02.10 15:43

こんにちは、外付け胃袋様

恐らく、さよなら公演ならではの豪華キャストなんだと思います。
しかし、勘三郎さん、ほとんど印象が無く・・。
ううーん、能の「安宅」では、義経役は子役が多いので、科白が少ないのでしょうか?

とにかく!団十郎さんの弁慶は素晴らしく、お家芸とは言え、声の張り、科白回し、所作、情感共に最高でした。
「役者、千両!!」でございますよ!!

投稿: いけこ | 2010.02.10 15:54

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