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2010.02.19

東京雑記 その6 歌舞伎座さよなら公演 壽初春大歌舞伎 その5

第四、秀山十種の内 松浦の太鼓 (まつうらのたいこ)
松浦鎮信/吉右衛門
其角/歌六
鵜飼左司馬/由次郎
渕部市右衛門/松江
早瀬近吾/吉之助
里見幾之亟/種太郎
江川文太夫/桂三
お縫/芝雀
大高源吾/梅玉

時は江戸中期の元禄時代、江戸城は松の廊下での刃傷にて播州赤穂藩はお家断絶。
赤穂浪士達は、それぞれに身をやつし、討ち入りの機会をうかがっていました。
この演目は、いわゆる「忠臣蔵」の外伝の様な演目です。


俳人の其角は、雪の両国橋で煤竹売りとすれ違います。
よくよく見ると、それは、かつての弟子、大高源吾でした。
浪人の源吾は、妹のお縫を其角の推挙で平戸藩主松浦候へ腰元奉公させています。
源吾の身なりの慎ましさに、其角は松浦候より拝領の家紋入りの羽織を着せ掛けます。
別れる際、其角は「年の瀬や水の流れと人の身は」と詠みかけます。
紋付きの羽織を抗らいつつも受けた源吾は、「明日待たるるその宝船」と対句し、去って行きました。

翌日の夜、其角は松浦候と家臣達と共に句会を楽しんでいました。
そこへお茶を運んできた、お縫が現れた途端、松浦候は不機嫌になります。
それを見た其角は、不興の原因(お縫への戯れ)を言い当て、取りなします。
一旦、機嫌を直したかのようであった松浦候、其角が話の接ぎ穂に源吾の事を持ちだすと、
またまた不機嫌になります。
そして、其角が源吾に羽織を与えた事を聞くや、更に立腹、お縫にもお暇を与えます。
どうやら、松浦候の不興の真の原因は、赤穂浪士達が仇討ちせぬことへの不満があるようです。
義に篤い松浦候は、共に山家流を学んだ内蔵助やお縫の兄源吾の不忠に怒りを覚えているのでした。

あまりの剣幕に驚いた其角、お縫を伴い御前を下がります。
去り際、昨日、源吾の対句を松浦候に投げかけます。
松浦候が、その対句の意味を思案していたまさにその時、陣太鼓の音が轟きます。
太鼓の音を数え、それが山家流陣太鼓と気づいた松浦候、赤穂浪士が吉良邸に討ち入ったと悟ります。
そして、源吾の対句がそれを暗示していたということも。

馬に跨り、戦支度をし、加勢に参ろうと血気にはやる松浦候を、家臣達が押しとどめている時、
火事場装束に身を包んだ、源吾が面会に参じます。
源吾は、其角に過日の礼を述べ、また、問われるままに松浦候達に討ち入りの一部始終、見事本懐を遂げたことを告げます。
源吾は其角に携えていた時世の句の短冊を渡し、主君の眠る泉岳寺へ。
松浦候は、あっぱれ見事の忠義心を褒め称えるのでした。

吉右衛門様の松浦候、愛嬌ある我が儘なお殿様振りをおかしみをもって演じておられます。
アドリブでしょうか、家臣達に何度も「馬鹿目が」と何度も言って、観客の笑いのツボもしっかり押さえ、離しません。
其角に不興の原因を言い当てられた時に、ぷぅっとほっぺたを膨らます所は、なんて可愛いんでしょう~。
おぼっちゃんの気分屋さん、艶っぽい話題も品良く交わす、魅力満点の吉右衛門様のぬくみが感じられる役どころでした。
陣太鼓に大喜びする様子や加勢に駆けつけようとするなど無邪気な可愛さが、家臣達やまわりの人には大変ですが(笑)、愛すべきキャラクターの賑やかな演目でした。


歌六さんの其角は、情溢れる粋人。
梅玉さんの源吾は、品格有るきりりとした武士。

書き連ねると、やはり、私、吉右衛門様しか見てませんねぇ(笑)。


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余韻に浸りつつ、歌舞伎座から銀座駅まで歩いてくると、中央通りは歩行者天国になっていました。


参考

写真:2010年1月23日 銀座にて

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コメント

いけこ様、こんにちは:

舞台の様子が、眼に浮かぶ様ですね^^

いけこ様、舞台上の吉右衛門さんに、掛け声はかけられたんですか??

なかなか勇気も要りますが、女性の声で「播磨屋!」なんて云う掛け声が響くと、粋なもんでございますよ^^

あ~高兄も久しぶりに歌舞伎が観たくなってまいりました。

「梶原平三誉石切」や「籠釣瓶花街酔醒」あたり、久しぶりに傾かれたいもんやね~


そうそう

いけこ様のblogと、リンクさせていただいてもよろしいですか?

投稿: 高兄 | 2010.02.19 20:21

やあ、松浦候しか出てきませんね。
吉右衛門さんがお好きなんですねー。
ごひいきの役者さんがいるのは良いことです。
私は誰かを好きになるところから始めないといけませんから、時間がかかるかもです。
ごひいきの役者さんが見つかったら、清水から飛ぶんだろうなぁ。
歌舞伎で身を滅ぼしたりして。

和光ビルはやっぱり赴きありますね。
チョコは食べました?

投稿: 外付け胃袋 | 2010.02.20 00:14

初春に「さよなら」が加わって演目も役者も豪華ですね
私は歌舞伎座の内部には入れず仕舞いで終わりそうです
音に聞こえた空間を体験できなかったのが心残りです
取り壊すのが決まった以上外観がどうこうよりこの空間を
いかに再現、いやそれ以上の物にするかが命題ではと思ってます
その上で現代の和の名匠、隈 研吾氏に白羽の矢を立てたのなら
委ねきって「平成の歌舞伎座」と言えるものができる事を願います
中途半端な亜流は文化とは言えないと思います
名前も隈・・歌舞伎に縁がありそうです 笑
少し生意気ぶってみました。

投稿: kame | 2010.02.21 23:01

おはようございます、高兄様

お返事が遅くなりまして、申し訳ございませんでした。
リンクのお誘い、有難うございます!!
是非とも、お願い申し上げます。

大向こうの掛け声、もし練習して掛けられるならば、やってみたいのですがねぇ。
残念ながら、女性は掛けてはダメな決まりなんですよ~(溜息)。
男性のみだそうです。くすん。

投稿: いけこ | 2010.02.23 10:05

おはようございます、外付け胃袋様

もう、吉右衛門様しか見ていません。
それも、がっつりオペラグラス抱えて見てます(笑)。
粋でしてねぇ、素晴らしいです~。
きっと外付け胃袋様も、傾いちゃうこと請け合いです!!
歌舞伎で身を滅ぼす・・・、ヤバイです。
先月と今月でまさにその通り・・・。

オススメ下さいましたチョコ、頂きました~。
しかし、ほとんど妹のお腹に入ってしまいましたとさ(笑)。

投稿: いけこ | 2010.02.23 10:09

おはようございます、kame様

月が重なるごとに、席がどんどん取れなくなってきました。
やはり、皆様、歌舞伎座にお別れをされにいらしてるのですねぇ。
今月の歌舞伎なんて、土日はほぼ完売ですもの~。
名残惜しいですわ。

新しい歌舞伎座の設計者さんは、隈さんなんですね~。
仰るとおり、何と歌舞伎にご縁があるお名前で!
新たな歌舞伎座も、皆様に愛される建物であれば良いですね。

投稿: いけこ | 2010.02.23 10:16

いけこ様、こんにちは:

>残念ながら、女性は掛けてはダメな決まりなんですよ~(溜息

あれ、そうでしたっけ?

高兄、むかし南座で聴いた事がるような・・・・
あれは幻聴??

いけこ様は、御心の中の掛け声となりますか~せつないですねぇ

さっそく、リンクさせていただきました。

おおきに^^

投稿: 高兄 | 2010.02.23 12:40

こんばんは、高兄様

もしかしたら、少年のファンだったのかも!?
流石に面と向かって、女性禁止ということは書いてませんが、wikiにも女性はご遠慮をとありましたので・・・。
祇園さんの長刀鉾には女性が上がれないように、何か決まり事なんでしょうねぇ。
心の中で、思いっきり叫ばしてもらいますわっ!

リンク有難うございます。
こちらも整いましてから、改めてご挨拶に伺いますね。
お待ち下さいませ。

投稿: いけこ | 2010.02.23 18:00

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